朝からどんよりしたお天気です。
今年一番の冷え込みで、日中も寒そう


久しぶりに感動する映画に出会えたので紹介しようと思います。

2001年のドイツ映画「名もなきアフリカの地で」。
アカデミー賞外国語映画賞も受賞しています。

ヒトラーが台頭し始めた1938年。
ユダヤ人の弁護士一家がいち早く迫害から逃れるため、アフリカのナイロビに移住する。

そこでの暮らし、アフリカの人たちとの交流、文化、そして故郷を離れて暮らす夫婦の葛藤。
様々な要素が少女の成長と共に描かれています。


この映画の冒頭で描かれる1938年は、裕福なユダヤ人社会ではパーティーが開かれ、ヒトラーは一時的なものいずれドイツの良識が勝つと大半の人は思っていたことに驚きを覚えました。

それがあっという間にナチが台頭し、国民同士が殺しあう悲劇。

戦後、弁護士一家がドイツに戻ることになっても、国民同士が憎みあった社会に戻るのが怖いと語る場面では、同じ国民同士の対立を煽り戦争へと加速していったというドイツの複雑な状況が描かれています。

この映画がドイツで制作されとことに意味があり、戦争を引き起こしたものに対しての様々な謝罪も含めて描かれていると思います。


一方その時代の問題だけでなく、便利な文明社会から何もないアフリカの地へ移った夫婦の戸惑い、そして次第にそれを受け入れ、生きていく生活のあり様。

当初は愚痴ばかり言っていた母親が違いは素晴らしい、違いこそ進歩の源と語る場面は感動的。


様々なアフリカの風習、お祭りも美しい映像で語られています。

コックの現地の男性と少女の交流。
最後に拾って育てた野良犬と一緒に去っていくシーンは一編の詩のような美しさです。