お盆の関東を直撃した台風ですが、サイタマでは思っていたほどの豪雨にもならずほっと一安心です。
秋田など豪雨と続くところでは、皆さん祈る気持ちで雨が降り止んでくれることを願っているでしょうね。
どうか、早く雨がやみ、少しでも被害が少なく済みますように。


久しぶりに感動した「ある画家の数奇な運命」。
例によって安っぽい邦題ですが、自分たちの過去の歴史から目を離さないドイツの気概を感じる見ごたえのある映画でした。


ナチスドイツの台頭してくる戦前のドイツに育った少年。
戦争の影響がひしひしと押し寄せ、ユダヤ人以外の障がいのある人までガス室に送られる日々。
それを押しすすめる隠れナチの産婦人科医。

そんな暗い戦争が終わると今度はソ連の支配。
アメリカ的文化はすべて退廃的と一刀両断の美術学校。

そこで運命的な出会いを。


現代美術界の巨匠とされるゲルハルト・リヒターの半生を描いたこの映画は3時間を超える長編ながら、最後まで息もつかせぬ展開で見ごたえありました.

ナチが支配していく様描きながら、1人の支配者のせいにせず、これを選んだ国民一人一人の責任、そして隠れナチでありながら戦後も権力を持ち生き続けた人たち。

そうした史実を細かく描きながら、戦後、たぐいまれなる才能の持ち主の画家が、その地位を掴むまでの青春サクセスストーリーでもあります。


ギリギリセーフで東ドイツから西ドイツに逃れることができたので、今のような巨匠として活躍できたのであって、もし間に合わず東ドイツに残されていたら、こんな活躍はできなかったでしょう。

その辺のスリリングな状況もうまく表現されています。

この恋に落ちた女性が奥さんかどうかは怪しい限りですが...
最初の奥さんとの歳の差も17歳もあるので、ちょっと話は合わないですよね。

まあ登場する女性に関してはフィクションとしてぼかしながら、彼が自分のスタイルを確立するまでの芸術家としての苦悩はリアルです。



そしてそして、今ゲルハルト・リヒター展が国立近代美術館で10月2日まで開催されています。

少し暑さとコロナが収まったら是非とも見に行こうと思っています。