夢は枯れ野を...

団塊世代夫婦の個人旅行記(海外、国内)をメインに、近所の散歩道、山歩きなど気の向くままに綴っています。

写真の無断転載はご遠慮くださいね。 ホームページ上から写真が大量に消えています。 勝手に写真を盗用され悲しい思いです。 大した写真ではありませんが、私にとっては大切な思いが詰まっています。 どうかご理解のほどを。

最近お気に入りの本

「マディソン郡の橋」の続編 ロバート・キンケイドから見たその後「マディソン郡の橋 終楽章」

アイオワ州の片田舎で出会った農家の主婦とニューヨークのカメラマンの4日間の恋を描いた世界的ベストセラー「マディソン郡の橋」。

映画では私の大好きなメルリ・ストリープがいかにも農家の奥さんという感じの豊かなヒップが印象的だった。
雨に濡れながら彼女を見送るクリント・イーストウッドも素敵だった。

「マディソン郡の橋」ではその4日間の出会いと別れ、彼女の側からのその後が綴られている。

日本ではその恋のエピソードに人気が集まったそうだが、本場アメリカではむしろナショナルジオグラフィックのカメラマンだったロバート生き様に関心が集まり、彼の側からのその後という形で描かれたのが「マディソン郡の橋 終楽章」。


第二次世界大戦で従軍カメラマンだった彼がアイオワでフランチャスカと出会うまでの日々。
フランチェスカとの別離後、そこには思いもかけない息子との再会も。

そして二人が一瞬のすれ違いで出会えなかったその後。

淡々とつづられる文章は物語というよりはノンフィクシに近い印象を与え、ロバートのこだわりのバイクやサスペンダーなど作者が色濃く反映されているように感じる。

そして彼の最期もいかにもアメリカ人らしい生き方の終わり方。

自力で体が支えられくなった時は、そこで命が尽きるという覚悟。


続編と言うとがっかりも多い中で、うまく物語の雰囲気を変えずに綴っているな~と。
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司馬懿から見た新たな視点の三国志「仲達」塚本靑史著

三国志というと吉川英治の「三国志演義」を思い出すが、どちらかというと蜀の側から見た滅びるものの美の物語が有名だが、テレビドラマの影響もあり、悪役と言われた曹操の側からみた三国志の時代の物語を読みたいと思って探したのが、この本。


物語の中心は曹操亡きあと、曹丕、曹叡と続く皇帝を支えた司馬懿の物語。
あまりクローズアップされることがなかった2人の皇帝はどちらも短命であったため、その業績を評価されることなく終わってしまったが、どちらも頭脳明晰な優れた指導者であったようだ。

歴史というのは見る側によって180度変わってしまう。

短命であった皇帝の後を継ぐ者は、お決まりの己の保身しか考えない悪役家臣の手の内に。


長生きした仲達だからこそ、人を見極めて人の上に立つことの大切さを我が子に伝授し、三国志時代に終わりを告げる晋の礎を築くことができた。


医術にも造詣の深かった仲達ならでは鋭い視点も。
徐々に命を縮めていったり、けがの回復を早くする麻薬の存在。
後々のアヘンにまでつながっていくのかもしれないが、戦場以外でも様々な策略が張り巡らされ、それによって魏だけではなく呉の皇帝までもむしばんでいく。

公明正大な人物として描かれる諸葛亮の裏の人物像も面白い。


惜しむらくは1冊の本にまとめるために長さの制限があったのかもしれないが、もっとそれぞれの人物を深く掘り下げたどっしりした読みごたえのある内容であればよかったなと。

あまりに有名な洞窟の復讐劇も当時のフランスの世相と併せて読むと面白い「モンテ・クリスト伯」

冬の寒い日は大作を読むのにうってつけ。
久々全7巻の「モンテ・クリスト伯」を一気読み。

夢や希望にあふれた一等航海士が謀略により脱出不可能な監獄に入れられ、そこから始まる復讐劇。
想像もつかないほどの莫大なお宝を手に入れ、自分を貶めた人々を次々に復讐していく。


当時のナポレオン100日天下という背景の中で、近代以前の貴族社会から徐々に移り変わろうとする時代。
伯爵の称号さえ簡単にお金で手に入れることができる制度をおちょくり、漁港で働く船乗りに心よせる作者のデュマ。

あまりに有名なフランスの作家だが、こうした庶民の感情に寄り添った作品だからこそ持てはやされたのだろう。

デュマ自身は結局のところ贅沢三昧の貴族の生活をしていたようだが。


とりあえず、物語の世界に没頭するには最適の本です。

ハッピーエンドで旅立つ主人公。

誰もが夢に描く豪華な調度品や宝石の数々。

たまには現実を忘れて物語の世界にどっぷりつかるのも悪くないです。
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能登半島地震と重なるリアルなストーリー 「ブラックアウト」

年末から読み進めていた「ブラックアウト」。
その渦中でおこった能登半島地震。

ドラマを見た時にも、あまりにリアルなストーリーに震撼させられたが、こうしてテレビの映像で見る惨状は本に描かれた通り。

本での発端は電気系統の乗っ取りからヨーロッパ全土に広がっていく様を描いているが、この地震の惨状が日本中に広がる事態になったらと思うと想像すらできない。

今回のように電気、水道、ガスといったライフラインがすべて止まってしまったらどうなるのか?
一日、二日ならいずれ復旧するでしょうという楽観的な見方ができても、それが一週間、十日となれば多くの死者も出る悲惨な状況に。


作者はオーストリアのコラムニストとして活躍したマルク・エルスベルグ。
東日本大震災の原発事故に影響を受けたというこの本は、ヨーロッパらしい環境問題、移民問題の視点も入れながら、人為的に起こされた大停電をイタリア人の元ハッカー、ピエーロ・マンツァーノが原因を突き止め解決していくまでの日々を克明につづっている。

解決までの渦中で明らかになるのは、一般の人々が飢えや寒さに苦しんでいる時に、ユーロポールの本部では、非常用の電気が通り、暖かな部屋やシャワー、そして食事も提供されているという現実。

むろん問題解決のためにはそういう場は必要なのだが、結局権力を持っている人たちはいつも優遇されるという現実も付きつけられる。

そして国民の不満を抑えるために、スケープゴートとしてテロリストに仕立てられるマンツァーノ。
問題解決より、いかに自分の身に責任がふりかからないかという自己保身に終始する大臣。

どんなお偉いさんも解決できない事態を救ったのは、優秀な女性局長。


時系列の流れがより細かく描かれているため、専門的なやり取りの部分ではちょっと端折りながらだったが、ドラマそのままのストーリーで、いつもの原作とのギャップをあまり感じることはなかった。

本の最後はハッピーエンドで終わっているのも好感が持てたし、一度はこんな事態を考えるきっかけにもなればと思い、お勧めします。
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最後にお亡くなりになられた方のご冥福をお祈り申し上げ、被災された方には心よりお見舞い申し上げます。

カナダの小さな村で起こる事件 美しい自然、村の人々の人間模様が詳細に描かれた秀作「スリー・パインズ村と運命の女神」

CSでも放映されているガマッシュ警部の物語「スリー・パインズ村と運命の女神」。

英語圏と仏語圏が混ざり合うカナダ・モントリオール郊外の小さな村でおきる事件。

この作者が出版社に認められるまで20年かかったという。

数々の詩を交えた簡潔で美しい文章。
小さな村での細やかな人物描写の導入部分が長いので、最初はなかなか読み進みませんが、ひとたびその世界に入り込むと、グイグイ引きつけられて行きます。

小さな村の濃密な人間関係。
どんな人にも善と悪が入り混じっているという穏やかな人物描写。

そして何よりこの事件を解決するガマッシュ警部の人柄に心惹かれます。
訳あり警部が事件を解決することが多いなかで、優しい妻との穏やかで平凡な結婚生活。
自らの昇進にとらわれることなく、村の人々と向き合って事件を解決する姿。
彼もまた詩を愛し、それを引用することも。

そして登場する美味しそうなカナダのローカルフード。
白く輝く美しい自然。


このところこのシリーズにハマって全制覇を目指して読み進み中。
最近は図書館の本がネットで予約できるので便利になりましたね。


ドラマも良いけど、やはりこの空気感を一度味わうとどっぷり沼に浸かってしまいますね。
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青春時代の愛読書に巡り合えた「旅の重さ」

青春時代にハマった本に巡り合う機会はなかなか難しい。
たいていが廃版になっていることが多く、見つけたとしてもかなり高額だったりする。

一度は読み返してみたいと思っていた本が、たまたま図書館のネット検索で見つかり、さっそく借りることができた。


この「旅の重さ」という本は、高校中退した少女が四国のお遍路巡りの旅に出る物語。
そこで出会った人たちとの交流。
四国の海岸沿いの小さな町の風景。

作者も見つからぬままに出版され、映画化されるほどの大きな反響を呼んだ。


現実から脱したいという憧れはあっても、ただ平凡な日々を繰り返す高校生活。

そんな私にとって、同世代の少女の冒険物語は、たちまち飛びつくほどの衝撃を与え、繰り返し愛読した。


年月を経て読み返してみると、あの時代の雰囲気、息吹が伝わってくる。
あの頃は日本も豊かで余裕があり、そして希望もあった。
その中で、ささやかな自由を謳歌する憧れもあったと思う。


一度は四国のお遍路巡りに行きたいと思いながらも、年月が過ぎ去ってしまった。
いつかどこかで、海辺の漁港で少女のような景色を見ることができるのだろうか。
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沢木耕太郎のエッセンスを集めたエッセイ集「銀河を渡る」 2023

新居に引っ越してきて3か月が過ぎ、少しづつご近所散策を続けています。

自宅から徒歩7分のところにある公民館の一角の図書室。
ネットからの予約した本も受け取れるし、お散歩がてら出かけるにもちょうどいい距離です。


新しく利用者カードを作り、たまたま目に留まった沢木耕太郎のエッセイ集「銀河を渡る」。

25年の集大成ということで、まとめられたエッセイ集だが、若かりし頃のちょっと尖ったエッセイから亡くなった方への追悼など年月の流れを感じるものが多くなりました。

年齢的にも私よりちょっとお兄さんで、書かれる内容も今の私の気持ちにピッタリだったりして、かなり読み応えのあるずっしり厚みのある本ですが、大切に読んでいます。

ハードカバーの本を自分のものとして所有するのは、引っ越しを境として止めたので、図書館の本でこんな出会いがあると嬉しいですね。

中でも表紙の藤田嗣治さんの少年の絵は秀悦。
片手にワインのボトル、もう片手にバケットを持つこの少年の雰囲気を称して沢木さんは「小さな放浪者」と呼んでいるが、歳を取っても放浪を続ける沢木さんの決意も感じられたりして、素敵。


これから日本ではますますハードカバーの本の出版が厳しい時代になるでしょうね。

それだからこそデジタルの本では味わえないこだわりの表紙に心惹かれます。


少しづつ新しい環境に慣れてきた今だからこそ、私自身もこれからの生き方を考える大きな分岐点に差し掛かってきたような気がします。


できることなら歩いて図書館へ通い、本を読む気力もあり、そしてたまに放浪の旅に出かけるそんなこれからであってほしいと願うばかりです。
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