昨日AXNミステリーで一挙放映された実話に基づくサスペンス。
まだ全部見終わっていませんが、その中でも英国でも評価が高く、ゴールデングローブ賞主演女優賞にもノミネートされた作品「適切な大人~連続殺人犯フレッド・ウエストとの対峙」良かったです。

1990年代に起こった連続殺人事件の犯人フレッド・ウエストと妻ローズ。
犯人容疑者の取り調べに立ち会い、容疑者の精神的サポートをする役目を「適切な大人」と言い、その役目を担うことになったごく普通の主婦ジャネットの目線からとらえた犯人との交流。


殺人犯がサポートする役目の人の心までコントロールしようとする怖さとそれを乗り越えようとするジャネットの生き様。

うつ病に悩むパートナーと共に暮らし、4人の子どもを育てながら、自身も学校に通い、資格を得るための仕事をしているジャネットをBBCらしくごくありふれた中流階級の日常として丁寧に描いています。

日本だったら絶対にそんな何役もできないと投げ出してしまうところでしょうが、周りの人の目も優しく、それをサポートしてくれる人たちもたくさん出てきます。
その辺の生き方は90年代でありながら、今の日本よりはるかに進んでいますね。
何もかも親の責任、特に母親の責任として押し付けられることが多い日本では、なかなか違うレールの生き方ができないですよね。


連続殺人犯は明らかに尋常ではない精神で、ごく普通の人から見れば話を聞くだけで悪夢にさらされることでしょう。


様々な要素を持った事件を捕える側からでも捕えられる側からでもない第三者の目で描く、その目線の細やかさに心打たれます。


最後に犠牲になられた方の写真と実名が出て、新たな家族の生活の始まりを描いています。

そこには悲惨な事件の希望、ごくありふれた日常の大切さなどいかにも英国らしい終わり方で好きです。
米国のようにすべて善悪をつけないと気が済まない世界とは違う目線の暖かさがいいですね。


そうした主人公を決して美人ではないけれど存在感のあるエミリー・ワトソンが演じています。
やっぱり英国の女優さんは奥が深いし、目力がありますね。

これから他の作品も見てまた紹介したいと思います。