予報より早くどんよりした雲の関東地方です。

この先も雨や雪などが続く予報で、何となく重い気分の一週間になりそうですね。
いつもの年のからっ風と抜けるような青空はどこへ行ってしまったのでしょう




最近お気に入りの本を紹介します。

英国の作家ローズマリ・サトクリフの「太陽の子」。

初めて出会った作家が気に入ると立て続けにその作家の本を読むことが多いですが、この作家もそんな一人となりそうです。



ローズマリ・サトクリフ(1920-1992)はイギリスの児童文学作家であり小説家。
2歳の時の病気がもとで歩行困難になり、生涯車いすで過ごしたそうです。


「太陽の子」は彼女の代表作と言われていますが、青銅器時代に片腕のきかない少年が数々の試練や経験を経て大人になっていくというストーリー。


最初にこの解説だけ読むと青銅器時代?どんな話みたいな感じだったのですが、時代を超えて普遍的な少年が一人前の大人へと成長していく過程が実にリアルで美しい文章です。


作家自身が障がいを抱えて生きてきた方なので、ハンディキャップを持ちながら狼と戦い一人前の戦士となる儀式に臨む姿は感動もの。


そこには彼を助ける友、温かく見守る家族や長老者など様々な人たちがいます。


ハンディキャップが原因でいじめられることがあっても、一人前の戦士となるにはもちろん手加減はありません。

正々堂々と戦って彼が勝ち得たものです。


それぞれの登場人物の描き方も見事ですが、イングランド南部の自然描写も見事で、夏の花々、冬の厳しい自然、そしてそこで暮らす生き物たち。



先日ローマ教皇が来日した際、若者たちに「自分を映す鏡を見るのではなく、他者をもっと見なさい」と語りかけたそうですが、やはり人は他者とのかかわりの中で成長し自分の存在価値を築いていくのだという作者の思いがひしひしと感じられた作品でした
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